はじめに
行政書士事務所きりん代表の大塚竜一です。
外国人材を採用した企業様から、「採用してもすぐに辞めてしまった」「聞いていた話と違うとトラブルになった」というご相談を受けることがあります。
その原因の多くは、「面接時の確認不足」にあります。 日本人の採用面接と同じ感覚で「志望動機」や「自己PR」だけを聞いていては、文化や生活習慣の違う外国人材とのミスマッチは防げません。
今回は、登録支援機関スタッフとしての経験に基づき、「入社後の定着」を見据えた、面接で絶対に聞くべき質問事項を公開します。
1. 雇用条件の「理解度」を確認する
まず大前提として、求人票の内容(給与や休日)が正しく伝わっているかを確認します。 単に「条件を見ましたか?」と聞くのではなく、求職者の口から説明してもらうのがポイントです。
- 質問: 「この会社の給料はいくらで、休みはいつか、あなたの言葉で教えてください」
- 目的: 本気度を測ると同時に、日本語の読解力不足による「思い込み」や「勘違い」をここで潰します。特に「手取り」と「総支給」の違いを理解しているかは重要です。
2. 仕事内容の「詳細」を隠さず伝える(イメージギャップの防止)
「製造業」「農業」といった大枠の職種だけを伝えて安心していませんか? 早期離職の最大の原因は、「思っていた仕事のイメージと違った」という入社後の『こんなはずじゃなかった』というミスマッチ
面接では、良い部分だけでなく、大変な部分こそ具体的(詳細)に伝えてください。
- 伝えるべき詳細:
- 「一日中、立ち仕事になりますが大丈夫ですか?」
- 「20kgくらいの重い荷物を持ち上げる作業があります」
- 「夏は40度近くになり、冬は寒いです(空調の有無)」
- 「独特の匂いや、油汚れがある現場です」
口頭だけでなく、現場の動画や写真を見せながら説明するのがベストです。 ここで「それは無理です」と言ってもらえれば、お互いに不幸な入社を防ぐことができます。
3. 転職理由とキャリアの深掘り(定着性の見極め)
国内にいる外国人が転職する場合、必ず理由があります。ここを突っ込んで聞きます。
転職理由の確認
- 質問: 「なぜ今の会社を辞めて、うちに来たいのですか?」
- チェック: 前職の不満が「給与」なのか「人間関係」なのか「仕事内容」なのか。その不満は、うちの会社なら解消できるのかを見極めます。
転職回数が多い場合
- 質問: 「過去に〇回仕事を変えていますが、それぞれの理由を教えてください」
- 目的: 理由なく転々としている場合は、採用してもすぐに辞めるリスクが高いと判断できます。
給与ギャップの確認
- 質問: 「(前職より下がる場合)給料が下がりますが、本当に生活できますか? それでもここで働きたいですか?」
- 目的: 内定欲しさに「大丈夫」と言う人もいますが、生活が苦しくなれば必ず不満が出ます。念押しが必要です。
4. 【トラブル防止】現在の在留状況と退職調整
これは日本人採用にはない、外国人雇用特有の最重要ポイントです。
- 質問: 「あなたが転職活動をしていることを、今の会社や登録支援機関の人は知っていますか?」
なぜこれを聞くのか?
実は、今の会社に何も言わずに(あるいは揉めたまま)勝手に転職活動をしているケースがあります。 内定を出した後に「今の会社が辞めさせてくれない」「登録支援機関が書類を出してくれない」というトラブルになると、最悪の場合、入社できません。 寝耳に水の状態を防ぐため、退職調整の進捗は必ず確認します。
- 質問: 「具体的にいつからこちらで働けますか?(移動可能時期)」
5. 日本語能力の実践チェック
資格(JLPT N4など)を持っているからといって、会話ができるとは限りません。
- 手法: 面接の会話のキャッチボールを通して確認する。
- アドバイス: 初めて外国人を迎え入れる企業様には、日本語能力が低い方の採用はお勧めしません。 現場の指示が伝わらないことは、双方にとって大きなストレスとなり、早期離職の最大の原因になるからです。
6. 「生活のリアリティ」を伝える
私が面接時に必ず伝える、独自のポイントがあります。それは「生活の不便さ」を正直に伝えることです。
- 伝えること: 「家から一番近いスーパーまでは〇kmあります。自転車がないと生活できませんよ」
- 目的: 地方や郊外の企業の場合、仕事以外の「生活環境」が合わずに辞めるケースが多いからです。
7. 「断ってもいいよ」と伝える(心理的安全性の確保)
最後に、これが最も大切かもしれません。 外国人材の中には、自己主張が苦手だったり、プレッシャーを感じて「No」と言えずに内定を受けてしまう人がいます。
- 伝えること: 「もし合わないと思ったら、遠慮なくキャンセルしていいですよ」
- タイミング: 面接前、もしくは面接終了後。
無理に入社しても、結局すぐに辞めてしまえば、お互いに時間とコストの無駄になります。 「蹴りやすい雰囲気」を作ってあげることで、それでも入社したいと言ってくれる「本気の人」だけをフィルターにかけることができます。
まとめ:面接の立ち合い・代行もご相談ください
外国人材の採用は、「入社してゴール」ではなく、「定着して戦力になって初めて成功」です。
そのためには、面接の段階で「仕事のキツさ」も「生活の不便さ」も包み隠さず話し合い、お互いのギャップを埋めておく作業が不可欠です。
行政書士事務所きりんでは、ビザ申請だけでなく、「定着を見据えた面接の同席・サポート」もワンストップで行っております。 「何を聞けばいいか分からない」「相手の本音を引き出せない」とお悩みの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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