熊本・四国・関西をまたにかける行政書士事務所きりんです。
技能実習生が日本に入国し、企業様での実習を本格的に開始する前に行う重要なステップ、それが「法的保護講習」です。
これは単なる「手続きの一部」ではありません。言葉も文化も違う異国の地で働き始める彼らにとって、自分自身を守るための「盾」を手渡す、極めて重要な教育の時間です。
今回は、この講習の本来の目的と、私が講師として何に重きを置いて伝えているのかを詳しくお話しします。
法的保護講習とは何か?(基本の解説)
法的保護講習は、技能実習法および入管法に基づき、第1号技能実習生に対して義務付けられている講習です。
- 目的: 実習生が日本での法的権利を正しく理解し、不当な扱いやトラブルから身を守れるようにすること。
- 実施時期: 入国後、実習実施機関(企業)での実習を開始する前に行われます。
- 講習時間: 概ね8時間以上。専門的な知識を持つ講師(行政書士、社会保険労務士等)が担当します。
法令により、以下の4つの項目を網羅することが定められています。
| カテゴリ | 主な内容 |
| ① 入管法・技能実習法 | 在留資格のルール、資格外活動の禁止、転籍の制限、失踪の不利益など |
| ② 労働関係法令 | 労働契約、賃金(最低賃金)、労働時間、休日、時間外労働のルール |
| ③ 安全衛生・労災 | 作業中の事故防止、万が一怪我をした時の労災保険制度 |
| ④ その他 | 社会保険(健康保険・年金)、税金、公的相談窓口の利用方法 |
私が「命を守る知識」として注力している3つのこと
法令の項目をなぞるだけなら、誰でもできます。
当事務所(行政書士事務所きりん)では、実習生が直面する現実的なリスクと、彼らの将来の幸せを考え、特に以下の3点に時間を割いて伝えています。
1. 悲しい事件を二度と起こさないための「妊娠・出産」の権利
最も熱を込めて、かつ慎重に伝えるのがこのトピックです。
過去、日本で技能実習生による「孤立出産」や「赤ちゃんの遺棄」といった非常に痛ましい事件が起きています。これらの背景には、実習生の「無知」と「恐怖」があります。
実は、送り出し機関の中には、実習に集中させるための「躾(しつけ)」として、「妊娠したら帰国しなければならない」と厳しく指導しているところがあります。その教育の意図は理解できなくもありませんが、その刷り込みが、いざという時に「誰にも言えない」「バレたらクビで強制帰国だ」という絶望を生み、悲劇を招いてしまうのです。
講習では、男女雇用機会均等法に基づき、妊娠を理由とした解雇や不利益な扱いは法律で禁止されていることを明確に伝えます。「一人で悩まずに相談していい。あなたは法律で守られている」と伝えることは、彼女たちの、そして新しい命を守ることに他なりません。
2. 帰国後の未来を支える「脱退一時金」
実習生にとって、毎月の給与から引かれる厚生年金保険料は決して安い金額ではありません。「日本に税金を取られているだけ」という誤解を解くのがプロの仕事です。
- 内容: 帰国後に申請すれば、支払った保険料の一部がまとまった金額(還付金)として戻ってくる制度を詳しく解説します。
- 理由: これを知ることで、真面目に働くことが帰国後の起業資金や生活費になるというモチベーションに繋がり、ひいては失踪や不法残留の抑止力になります。
3. 正しい節税で手取りを守る「扶養控除」
母国の家族を養うために来日している彼らにとって、手元に残るお金を増やすことは最大の関心事です。
- 内容: 本国の親族を扶養に入れている場合の所得税・住民税の軽減について。
- 理由: 正しい申告と、そのために必要な「送金証明書」の重要性を教えます。適正な手続きで手取りを増やすサポートをすることは、実習生と企業様の信頼関係を強固にします。
まとめ:行政書士として、一人の人間として
法的保護講習は、実習生が日本での生活を「安心」してスタートさせるための第一歩です。
法令遵守(コンプライアンス)は当然の義務ですが、その先にある「実習生一人ひとりの人生」を想像して講習を行うことが、結果としてトラブルを未然に防ぎ、受入れ企業様の安定した運営に繋がります。
行政書士事務所きりんは、登録支援機関スタッフとしての現場経験を活かし、法律の条文を「生きた知識」として実習生に届けます。
熊本、四国、関西、そして全国の受入れ企業様。実習生との健全な信頼関係を築くためのパートナーとして、ぜひ当事務所をご活用ください。
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