はじめに
行政書士事務所きりん代表の大塚竜一です。
最近、外国人材や支援機関の方から、「脱退一時金のルールが変わるのは2026年4月からですよね?」という質問を受けることが増えました。 Google検索のAI(SGE)や、一部のウェブサイトでも「2026年4月施行」と断言しているケースがあるようです。
しかし、行政書士として厚生労働省の公式発表や法律の条文(一次情報)を確認すると、「2026年4月」と確定している事実はどこにもありません。
今回は、この情報の真偽と、「ネットやAIの情報を鵜呑みにするリスク」について、正確な法的根拠をもとに解説します。
1. そもそも、何が変わるのか?(改正の具体的根拠)
まず、今回の改正内容について、法律ではどのように定められているのか正確に見ていきましょう。 今回の年金制度改正法において、国民年金法および厚生年金保険法の両方で、以下の措置が講じられます。
改正の具体的な内容
「再入国の許可を受けて日本を出国した者については、当該再入国の許可を受けている間は、脱退一時金の支給を請求することができない」ものとされます。
これまでは、再入国許可を持っていても、転出届を出せば一時金を請求できるケースがありました。しかし今後は、「日本に戻るつもりがある(=再入国許可がある)なら、一時金はまだあげませんよ(完全に帰る時に請求してね)」というルールになります。
つまり、一時金をもらうためには、再入国許可を取らず、空港で在留カードに穴をあけて(在留資格を失効させて)完全に帰国する必要があります。
【関連する法律】 この規定は以下の法律に関連して改正されます。
- 国民年金法(附則第九条の三の二第一項関係)
- 厚生年金保険法(附則第二十九条第一項関係)
https://www.mhlw.go.jp/content/001489180.pdf
2. 「2026年4月施行」という情報の出所と矛盾
さて、最大の問題は「いつから始まるか(施行期日)」です。 ネットやAIは「2026年4月」と言っていますが、公式情報(ファクト)はどうなっているのでしょうか?
厚生労働省の公式発表(公布日)
厚生労働省のウェブサイト等の公式発表では、今回の「令和7年度年金制度改正法」について、以下のように示されています。https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/09.html
「令和7年度年金制度改正法が6月20日に公布されました。」
法律が成立し、世の中に発表された(公布)のが令和7年(2025年)6月20日であることは、動かぬ事実です。
法律上の規定(施行期日)
そして、今回の脱退一時金の支給請求に関する改正の施行期日については、法律の附則で以下のように定められています。
「公布の日から起算して四年を超えない範囲内において政令で定める日」
ここから冷静に計算してみましょう。 公布日が「2025年6月20日」ですから、そこから4年以内ということは、「2029年6月19日まで」の間のどこかでスタートすれば良いことになります。
つまり、法律上決まっているのは「遅くとも2029年6月までには始まる」ということだけであり、現時点で「2026年4月」と断定する政令はまだ出されていません。
もちろん、結果的に2026年4月になる可能性もありますが、それはあくまで予測の一つに過ぎず、現時点で「2026年4月に決定」と断言するのは、一次情報に基づかない誤った情報と言わざるを得ません。
3. なぜ誤った情報が広まるのか?
なぜAIや一部のサイトは「2026年4月」と言い切っているのでしょうか?
- 他の法改正との混同: 年金制度や入管法など、2026年4月に施行される他の改正情報と混ざってしまっている可能性があります。
- 「AIの過信」: AIはネット上の膨大な情報を要約しますが、その元データに「予測記事」が含まれていると、それを「事実」として回答してしまうことがあります。
4. 正確な情報を掴まないと「人生設計」が狂います
「たかが日付の違い」と思われるかもしれません。 しかし、日本で働く外国人の方々にとって、脱退一時金(数十万〜百万円規模)がいつ貰えるかは、帰国のタイミングを決める重大な要素です。
- 「2026年4月までは大丈夫だと思って油断していたら、もっと早く施行されて貰い損ねた」
- 「まだ大丈夫なのに、噂を信じて慌てて帰国してしまった」
このような不利益を避けるためには、検索上位の情報やAIの要約を鵜呑みにせず、必ず「厚生労働省の発表」や「法律の条文」を確認する必要があります。
まとめ:情報は「行政書士」等の専門家に確認を
インターネットは便利ですが、特に法律に関わる情報においては、検索トップの記事やAIの回答が必ずしも正しいとは限りません。
行政書士事務所きりんでは、元自衛官としての経験から「情報の正確性」を何よりも重視しています。ネットの噂レベルではなく、必ず今回のような法律の条文や省庁の公式発表(一次情報)に基づいて判断し、アドバイスを行います。
外国人材の雇用や年金の手続きで「本当のところはどうなの?」と迷われた際は、ぜひ当事務所へご相談ください。確実な情報でサポートいたします。
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