熊本・四国・関西をまたにかける行政書士事務所きりんです。
「ビザ申請は、必ず行政書士に高い報酬を払って頼まなければならない」 もしそう思い込んでいるとしたら、それは大きな間違いです。
まず、2026年の行政書士法改正により無資格者による有償の書類作成のグレーゾーンは完全になくなったという前提でお話をします。
1. 改正法が禁じているのは「部外者の代行」
令和6年の行政書士法改正により、無資格の登録支援機関、監理団体、あるいはブローカーが報酬を得て書類を作成することへの罰則は非常に厳しくなりました。実務能力のない「怪しい代行業者」は今、急速に淘汰されつつあります。
しかし、だからといって全ての企業が行政書士を雇う必要があるわけではありません。実は、法改正の網を潜り抜け、コストを最小化する「合法的なルート」が明確に残されています。
それは、「自社で、自分たちで書類を作ること」です。
行政書士法が厳しくなったのは、あくまで「資格のない部外者が、報酬を得て他人の書類を書くこと」を禁じるためです。自社で雇用する外国人のために、社長や事務担当者が無償で書類を作成する行為は、1円も法に触れることはありません。100%合法です。
「それなら、行政書士なんていらないじゃないか。自分たちでタダでやればいい」 そう思われた社長、ここからが本題です。経営者として最も重要な「損得勘定」のお話をしましょう。
2. 経営者の「合理的無知」という選択
経済学の用語に「合理的無知(Rational Ignorance)」という概念があります。 平たく言えば、「全てを自分で知ろうとすることは、その勉強にかかるコスト(時間と労力)が大きすぎるため、あえて『知らないままプロに任せる』ほうが合理的である」という考え方です。
ビザ申請を自社で行う場合のコストを、冷静に計算してみてください。
- 勉強コスト: 数百ページに及ぶ入管の手引きを読み込み、最新の法改正(介護の6年延長ルールなど)を正確に理解する(約20時間〜)
- 作業コスト: 慣れない書類をミスなく作成し、不備があれば入管から呼び出される(約10時間〜)
- リスクコスト: 万が一「不許可」になった場合、そのリカバリーにかかる膨大な時間と、本人の在留期限が迫る精神的ストレス。
仮に、社長の時給を5,000円としましょう。自社で30時間を費やしてビザ申請を完結させた場合、目に見えないコストは15万円に達します。
一方、行政書士に数万円の報酬を払い、社長は「ヒアリングの1時間」だけを使うとしたらどうでしょうか。残りの29時間で、社長はいくらの利益を生み出せるでしょうか?
3. 「自作」は自由。しかし「責任」も自前。
「自分でできることは自分でする」という精神は素晴らしいものです。 しかし、ビザ申請は「出せば通る」ものではありません。入管との繊細な交渉や、将来的な特定技能2号への移行、そして不測の事態への備え。これらを全て自社で抱え込むことは、法改正後の厳しい環境下では、巨大な「経営リスク」を自ら背負い込むことと同義です。
行政書士に報酬を払うことは、単なる「書類の代行」ではありません。 「社長の貴重な時間を買い戻し、入管に対する法的責任をプロと分担する」という、極めて合理的な投資なのです。
4. 結論:どちらが「メリット」なのか
私は行政書士ですが、あえて言います。 もし社長の時給が1,000円以下で、時間が余って仕方がないのであれば、自身で無償で書類を作成したがよいです。それが最も安上がりです。
しかし、もしあなたが「1分1秒でも長く本業に集中し、売上を上げたい」と願う経営者であるなら、「あえて知らない(プロに投げる)」という合理的無知の選択こそが、結果として最も安上がりな対策になるはずです。

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